バイリンガルの落とし穴 その①
バイリンガルの落とし穴!?その①
講師の先生はロサンゼルスで30年に渡って日系人向けの英会話学校を経営されている女性で、バイリンガルとして育った30歳の息子さんとの共演セミナーでした。とても深い気づきを得た内容で、とっさに皆さまにシェアせねば・・と思いましたので、私見を交えてなるにはブログで共有させていただきますね。
と言うのも、これからの社会では英語は必須ツール。なるには學問堂でも、世界で活躍するために英語はしっかり学びますが、世界中が母国語と英語の最低2言語で活動する時代に突入しているのでしょう。ロサンゼルスでは、加えてスペイン語も必要なのだとか・・。 日本でも、多くの親御さんが子供に英語を習わせていますが、世界広しと言えどもその潮流は同じ。親の正直な気持ちとして、「自分の子供にはバイリンガルになって欲しい・・」というのは国を超えて変わらない感情のようです。
ですが、深く考えずに子供にバイリンガルを目指させてしまうと、日本人の場合、多くの親子がその落とし穴にはまってしまうのだと先生は言います。
落とし穴?
そのとおり。大きな大きな落とし穴です。誇張ではなく、落とし穴にはまってしまうと、子供の人生に大きなマイナスの影響を与えることになると感じました。
先生曰く、バイリンガルとは聞こえはいいですが、世に出ているバイリンガル、つまり有名人などの場合は、その99%がバイリンガルとしての成功例なのだと。なので、いい面だけを見てバイリンガルを目指すのは少々危ういと教えてくださいました。と言うのも、その影でバイリンガルの失敗例も無数に存在しており、後悔する事例は枚挙に暇がないと言うのです。
例えば、バイリンガルの失敗例では、自身の居場所が判らずに人生の大切な時期を迷走して過ごすことが多いと言います。広すぎる選択肢に自身の進むべき道が定まらなかったり、どちらの文化圏に重きを置いていいのかがわからなくなることも思春期で見られるのだとか。
例えて言うなら、東京と大阪にお家があって、1年ごとに交互に住みながら地域の学校に通わせて子供を育てたような場合が分りやすいかもしれません。どちらの学校でも、友達はできにくいでしょうし、どちらの仲間からも受け入れてもらいにくい。大阪では東京人と言われ、東京では大阪人と言われる。つまり仲間に入れてもらいにくいわけです。東京と大阪の大都市両方で生活できることをメリットに感じるのは大人だけかもしれません。例えての場合なので、現実的にこのような生活パターンをする家族はいないと思いますが、バイリンガルの場合は、国籍や人種、宗教的な違いもあり、子供の間ではいじめの対象にもなりやすいとも話されていました。何より、どちらの言語圏からも外様感を感じてしまい、どちらからも「外人として扱われるのは一番辛かった」と話されていたのが印象的でした。
親御さんが良かれと思って、インターナショナルスクールに子供を送り出したり、日夜英語漬けの生活を子供に与えるのも、何らかの理由で子供が将来英語圏に行って生活をせざるを得ないのなら正しい選択と言えるでしょう。6年間や9年間も外国言語の学校に通えば、確実にバイリンガルとして2言語を操れる大人にはなると思います。
しかし、日本で住む可能性の高い子供であるならば、また世界で活躍する日本人としての国際人に育てたいのなら、親御さんが相当に強い意思と労力をかける必要があるとのこと。と言うのも、外国語圏の学校では教わらない日本語と日本文化や組織的な習慣を自宅で親御さんがしっかり教える必要があるからです。でないと、日本の文化圏では「外人みたいな奴」として爪弾きになりかねません。見た目は日本人でも、その言語特有の思考パターンが出て、周りには外国人のように認識されかねないのはご承知のとおり。他方、海外でも自国に誇りを持っていない人は多言語は話せても重宝はされません。地元や自国を誇らしく表現できない人は根無し草のように流されることが多く、世界では信用されにくいと言うのです。
あなたは、自分の子供をバイリンガルの失敗例にしたくはないですよね?
ならば、子供に英語を学ばせる前に、または(既に学ばせている場合は)今からでもこの理屈をしっかりと把握して、要点を押さえておきましょう。
結論から言いましょう。
「母国語をしっかり学び、母国の文化に誇りを持たせてあげてから、第二言語としての英語を学ぶとのが正しい形である」と。
要するに、アイデンティティーの問題です。
欧州のように複数の言語が飛び交う地域では、3ヶ国語4ヶ国語を話す人は多くいます。しかし、どの国の言語を話すかは自身のアイデンティティーによります。親がフランス語を話して、子供は思春期を経てドイツ語を自ら話し出すこともあると聞きます。子供時分に、内外で多言語に触れて成長していくわけですが、親が母国語についてのアイデンティティーをしっかり持っていれば、子供もその背中を見て成長し、いずれ自身の話す言語を自分で決めていくと言うのです。つまり自身がどの国(またはどの言語圏)に属するのかや、どの文化圏で生きていくのかなども、話す言語でもって決めることが自然なのだと。
複数の言語が自由に扱えるというのは、ある意味ですばらしい技術です。今後は、いっそうその流れが必要になってくるでしょう。日本でも、旅行英語ではなく、日本語と英語の読み書きがしっかりできるのなら、その技術だけで通訳や翻訳のような知的な仕事もできることでしょう。
ですが、日本人の場合、親世代である私たちの多くが日本語以外の言語を扱うことに慣れてはいません。日本の近代史についても詳しく知りませんし、日本の良いところを外国に説明することにも慣れていません。そのために、私たち親世代が日本語や日本文化に対するアイデンティティーを意識せぬままに、時代の流れを先取りしてバイリンガルの言語や文化圏へ子供の取り舵を切っていくことは、先生の指摘のとおり危ういと言わざるを得ないと実感しました。
要するに、母国語や文化に対する敬意が形成される前に、英語圏特有の思考を子供に与えてしまうことになってしまうわけですから。
子供を愛さない親はいません。なので、親は良かれと思ってやっているわけです。
ならばこそ、母国語としての日本語と日本文化をしっかりと教えたうえで英語を学ばせることが重要なのです。
私は、英語圏の思考が悪いと評しているのではありません。
英語には英語のいいところがあります。その英語を習得して将来活かしていくためには、目的に応じた順序が必要だと。
この要点を押さえておけば大丈夫。案ずることなく、お子様に英語を学ばせてあげられますね。
バイリンガルでなく英語を話せる程度でも、日本語をきちんと扱えて、
自国に誇りを持った大人に育ててあげてください。
このテーマ、とても深い内容なので改めての機会に続きを書きますね。
なるには學問堂では、天才を発掘するのと同時に、英語もしっかり学びます。日本人として世界で活躍するために必要な和心を持った人格形成を目指す学童保育所なので今日の記事に即していますね。大阪梅田は太融寺のお隣。一度、体験しにきてくださいね。
お読みいただきありがとうございました。